- Paper Interpreterとは?
- Paper Interpreterはどうやって使う?無料?
- Paper Interpreterは本当に使い物になるの?
研究者は当然論文を読まなければいけないですし、読むのが速ければ速いほどいいです。
研究者以外の人についても、例えば「グリチルリチン酸ジカリウムって本当にニキビに効くの?」「GaNってどんなふうにすごいの?」という疑問が湧いたときに、一次情報として論文を読む選択肢があります。
今回は、研究者にとっては論文が読みやすくなり、一般人にとっては専門知識がなくても論文を読むハードルを下げることができるPaper Interpreterについて紹介していきます。
理系大学院生である私が書いています!
研究に絶対必要なツールではないですが、かなり時短になりますね〜
Paper Interpreterの概要
まずはPaper Interpreterについて軽く説明します。
Paper Interpreterとは、ChatGPTをカスタマイズできるGPTsという機能を使って、論文解説に特化させたChatGPTのことです。医師・神経科学者の紺野大地さんにより作成され、世界中でよく使われるGPTsとなりました。
プロンプト不要
ChatGPTは、よく言えば指示に忠実、悪く言えば指示されたこと以外はしないような子です。そのため、普通に論文を解説させようとすると、行動を一意に指示するようなプロンプトが必要になります。
しかし、Paper Interpreterは既にプロンプトが与えられている状態なので、あなたはPDFを添付するだけで論文解説が始まります。ChatGPTの利用の大体はプロンプト書く作業(つまりは質問を相手に伝わるように考える作業)が律速となるので、これは嬉しい機能です。
一貫した形式で論文を解説
Paper Interpreterは、与えられた論文を一貫した形式で解説してくれます。
これの何が重要なのか?国語では序論・本論・結論という構成を習ったと思いますが、論文にもある程度のテンプレートがあります。例えば、要旨・背景・方法・結果・議論・制限・応用可能性のようなものです。これらの項目を埋めれば必然的に論文になるので、これらの項目が説明されれば(一応)論文が説明されたことになるのです。
このようなテンプレートを意識することで、速読や俯瞰的な読解がしやすくなります。例えば、研究の新規性だけ知りたいならば、背景と結果だけざらっと読めばやんわりと理解できて、精読すべき論文なのかを判断できます。これらのテンプレートで埋められない部分があったら、自分がこの論文をちゃんと理解できていないと気づけます。Paper Interpreterはこのようなニーズに答えています。
図やグラフも読み取る
ChatGPTはマルチモーダルなので、テキスト以外にも画像が読めたり音楽が聞けたりします。そのため、Paper Interpreterは論文中の画像も読み取って解説することができます。
「調べ物をする」という概念はややテキスト寄りな印象を受けるかと思いますが、Paper Interpreterは画像も含めて論文を解説してくれるので、DeepLをも超えた日本語解説が返ってきます。研究に慣れていない学生や一般の人にはとても嬉しい機能です。
Paper Interpreterの個人的におすすめな使い方
ここからは個人的におすすめな使い方を紹介していきます。割とPDFを貼っつけてそのままって感じの人が多いので、ぜひ参考にしてみてください。
精読前に概要を把握する
Paper InterpreterはPDFを貼り付けるだけで、要旨・背景・方法・結果・議論・制限・応用可能性のテンプレートに沿って解説してくれます。
このテンプレートに沿ってると、どんな結果が出たのかが分かり、それに向かって背景や方法を書くことが予想できます。こうなると、例えば「この結果を売りたいからそりゃこういう背景になるよね」とか「その結果が出るならそういう方法とるよね」とか、予想しながら読むことができるので、かなり風通し良く読むことができます(何が結論なのか分からずに読むのは辛いので)。
読むのに労力が必要な図やグラフを軽く説明してもらう
Paper Interpreterは「Fig.1aを説明して」とか「Table.2について詳しく解説して」とか言えばちゃんと説明してくれます。PDFを貼り付けて解説されたあとに、返信する形でさらに深堀りすることができるのです。
論文の中には、読むのがだるい図やグラフがあります。図やグラフにはしっかりと説明文をつけろと大学で習うと思いますが、分野によっては「どうせお前分かっとるやろ」みたいな説明文を1文しか書かない慣習があります。そういった図やグラフを、本文を参照しながら地道に読むのはかなり苦痛なので、Paper Interpreterに解説してもらいながら読むことがあります。
曖昧な文章を詳しく解説してもらう
Paper Interpreterに分からない文章を貼り付ければ、日本語でちゃんと解説してくれます。
論文の文章には、同じ分野の人なら一意に伝わる単語や文でも異分野や初学者には伝わらないことがあります。例えば機械学習の文脈で「weight」と言われれば学習された行列のことだなと分かりますが、全く機械学習を知らない人は「重さ…?」となるでしょう。このようなときに、「以下の文章を解説してください。ただし、”weight”の定義も含めてください。(文章)」のようにPaper Interpreterにお願いすれば、ちゃんと解説してくれます。
自分の理解が正しいのか確かめてもらう
Paper Interpreterは一応論文を読んでくれているので、明らかに間違っているような発言をすればちゃんと否定してくれます。
私は研究者としてまだまだ初心者なので、あるグラフからなぜその結論が導かれるのか、なぜ筆者はこんなことを言っているのか、とかが理解できなかったりします。そういったときに「(理由1)と(理由2)だから(結論)ってことですか?」とか「筆者は何のためにこのグラフを載せているのですか?」とか質問したら、ある程度は論文に沿ったそれっぽい答えが返ってきます(合っているかは自分の頭で判断しましょう)。
まとめ
今回はPaper Interpreterの使い方について解説しました。
PDFを貼り付けるだけで論文を解説してくれるという特徴だけが独り歩きしてる感じしますが、ChatGPTの素晴らしいところは文脈を踏まえて会話してくれるところです。図やグラフの説明してもらうこともできますし、分からないところを分かるまで質問することもできます。特に「初学者だから知識がないだけ」状態の場合は、Paper Interpreterで質問するだけでかなりの知識をカバーすることができます。
今回も最後までお読みいただきありがとうございます!
他にもガジェット・キッチン・ソフトウェアについて一人暮らし生活を改善するための記事を書いているので、読んでいただけるととても嬉しいです!
コメント